皆様お久しぶりです!
書きたいことがたくさんあるんですが、ずいぶんお休みしてしまいました。。。ごめんなさい。。。
さて、みなさん、ドラクエ9やってますか?!笑
昨日はたいぞーさんとスタッフつばさっちとすれ違い通信しました。
船長とは2回もしました。
私とすれ違ったらメッセージの内容ですぐにわかると思いますので、ぜひコメントお寄せくださいね!
話題の「メタルキングオンリーフロア」がある地図を持たせています。
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久々のレビューですが、熱が入ってめちゃめちゃ長いです。。。先日のデザイン変更で、PCでも見たい記事を探しやすいよう一番上にカテゴリタブを付けましたので、勘弁してくださーい!!
今日ご紹介するのは、SF中編です。
「ベガーズ・イン・スペイン」。
本当は別のSFをご紹介する予定だったのですが、ちょっと事情があって後回しにしたので、この本にしました。
以前、短編小説は海外物より日本のものに軍配が上がるんじゃないかと書いたことがありますが、比較的狭い意味でのSF小説は、それとは逆に著しく海外作品の方が面白い気がします。
日本が舞台だと生々しさがあって近未来小説がどうしても嘘臭く読めちゃうからかもしれません。じゃあ、と、日本人の作家がカタカナ名の国籍不明なキャラクター扱うと子供っぽい感じに見えてしまうことが多いですしね。
何より、日本でSFと言えば、やっぱりアニメになるんでしょうね。
ところでみなさん、SF小説と言えばどんな話を思い浮かべますか?
サイエンス・フィクション、科学的な空想に基づいた小説を指すので、近未来を舞台にしたもの、宇宙からESPまでいわゆる「理科」分野をテーマにしたものが多いです。
前述しましたが、日本でSFと言えば漫画やアニメが主流で、ロボットものから変身ヒーローからたくさんあります。
広い意味でのSFはもっと膨大なんですが、今回はちょっと省きます。
SF小説って、ミステリ小説とちょっと似てるところがあるんです。
一時期の推理小説って、愛好家の間ではお話の筋よりもトリック重視のところがありました。設定は使い古された「雪に閉ざされた館内の密室」でもトリックが斬新ならば良作品!みたいな。
SFの場合は、ここまで極端では無いですが何よりも「斬新な発想」が歓迎される点では似ています。乱暴な言い方をすれば「先に考え付いたもん勝ち」、みたいな。
作家の方も、新しい設定を作り出せば、永久に評価されることになるので、ストーリーよりもアイディアやテーマに力が入ると思います。
たとえば、「ロボット」という名詞。今では広く普通に使われていますが、その昔に一作家が作品に使用したものが「新しかったので」、採用され、いまだに使われてるんです。
…そうやって、どんどん極端な方向に走っていって、どんどん読み慣れない人がとっつきにくい作品になっていって、SFブームは終焉を迎えたんじゃないかなぁ。そんなところも、推理小説に似ていますね。(個人的な意見ですが…)
私が読んだことのあるSF小説の中にも、面白いけどエンターテイメントじゃないなぁ…というものが結構ありました。
どうせなら、しっかりSFとして斬新で、なおかつ小説として面白い!!ものを求めたいですよね。
この「ベガーズ・イン・スペイン」は、「睡眠を必要としない新人類」という斬新な発想を、人間ドラマや社会風刺を交えて描いた面白い小説です。作者は、ナンシー・クレス。
生まれてくる赤ちゃんに遺伝子操作をして優れた性質を持たせることができるようになっている、近未来。
睡眠を必要としない特性を持たせた人間が、現れだします。
眠らないで済む分活動が多くできるだけではなく、知能にも優れ、安定した感情を持ち理性的な性質の、「無眠人」たち。
一段優れた新人類とも言うべき無眠人を、大衆はどう受け止めていくか・・・
こんなお話です。
主人公は無眠人の女の子、リーシャ。
富豪で傑物である父親が無眠人の子供を望んで遺伝子操作を施したのですが…予定外のことに、生まれてきた子供は双子だったのです。
双子の妹、アリスは遺伝子操作の影響を受けていない普通の子供でした。
当然、どんな問題が姉妹間に、家族間に起き上がるか、想像できますよね。
リーシャをはじめ無眠人は理知的で感情を乱すことがあまり無いのですが、それでも好奇の目に晒されたり妬みから迫害を受けたりと、立場的にも精神的にも徐々に孤立していきます。
いわゆる新人類モノなんですが、私は、SF的発想よりもこのテーマの書き込みに惹かれました。
優れた特質を持ったものは、その他と違う故に排除されるべきか否か。
理性は感情よりも優れているのか否か。
そういったことが、ステロタイプの大衆の愚かさを通して、描かれます。
「ベガーズ・イン・スペイン」とは、「スペインの物乞い」という意味です。
これが何をあらわすのか、ぜひこの本を読んでみてください。
私はこんなことを考えるのが好きなので、ちょっと内容から進んだ感想ですが、個人的にはこの小説は「自分以外の他者も特別」だという結末に至るお話だと思っています。
SFの、特に新人類モノではよく登場する「愚鈍なる大衆」。
はたして、大衆とは愚鈍なのでしょうか?
自分にとって、自分が特別であるように、他者にとってもその自分本人は特別なんですよね。
極端な話をすれば、人類ひとりひとり全員が「大衆って愚かだよな」と思っていた場合、その「大衆」とはどこに存在するのでしょうか。
この小説に登場するリーシャは、アリスとの関わりをもとに、そこにたどり着いたのだと思います。
…まぁそんな理念的なことは置いておいても、面白いSF小説でした。読みやすいです。
ちなみにこれ、三部作の一作目らしいのですが、私は、後半二作は未読です。(翻訳されてないのかな…?)
ハヤカワ文庫の同名短編集には、リンクしている短編「眠る犬」も入っていてちょっとお得感がありました。
今年出た本なので手に入りやすいんじゃないかなぁ。
優れた新人類と一般大衆との対立というテーマを、「眠らない人類」という面白い設定で描いた、SF各賞総なめ中編、
「ベガーズ・イン・スペイン」。
本を読む人で、本当によかった!