始めに言っておきます、今日は特に長くなりました…。
年の始めということで…。
皆様、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
深夜おっちとなんとなく長電話していて、話しました。
「変化」って、なんか淋しいねって。
人間だから、環境も心も体も、どんどん変わっていきます。どんなに居心地のいい幸せな状況でも、そこにいつまでもいられません。
自分の考えも、ひとの心も、周りの環境も。
変化って、素晴らしいことです。
刺激的でパワーと情熱に満ちた新しい可能性です。
私も何かしらの変化をたくさん積み上げて、楽しく今まで生きてきました。
でも、どんなにイイ変化でも、自分で選んだ道でも、そこには一抹の淋しさを感じます。
これは、情、でしょうか。
そんなことを話していて思い出したのが、この本です。
宮部みゆき「淋しい狩人」。
宮部みゆきさんの小説2冊めですが、てかタイトルだけなら3冊めですが、まぁそこは気分です。
舞台は東京の下町にある小さな古本屋さん。
亡くなった親友からこの店を受け継いだ店主のイワさんと、店を手伝いに来る孫の稔、それに名目上の経営者である亡き親友の息子、刑事の俊明。
こんな面々が繰り広げる、というか巻き込まれる、様々な事件を描いた連作短編です。
お話は、陳腐な言い方ですが宮部みゆきさん一流のハートウォーミングなミステリです。
語られるのは殺人であったり児童虐待であったりですし結末も明るいものばかりではありません。
でも、温かい気持ちになるのが宮部みゆきさんのすごいところです。
古本屋が舞台ということで、毎回本が出てきます。創作のものもあれば実在のものもありますが、これも面白いポイントです。
それに、短編だからこそ味わえる心地よい文章やスポットの当たらない普通の人間をくり抜く丁寧な描写…などなど、書きたいことはたくさんあるのですが、今回取り上げたのは別の理由なので置いておきます。
店を手伝うイワさんの孫の稔は、当初入学したての高校生です。
この彼が、連作中、少しずつ成長します。
お爺ちゃんと仲のいい元気な少年だった彼は、年頃なりにちょっと夜遊びが楽しくなり、そして恋をして、変化していきます。
メインのストーリーの脇でちょこっと語られるぐらいなのですが、成長していく稔に、言いようもなく淋しさを感じます。
連作小説のパーツの一つである登場人物なんだから、サザエさん的なノリで同じ場所に留まっててもいいのに!
彼はちゃんと思春期の人間として描き出されて、変化を避けて通れません。
稔が成長するということは、暗に祖父であるイワさんが老いるということでもあり、余計に淋しくなります。
祖父から離れて行った稔は、最後に仲直りらしき結末を迎え元のサヤに納まりますが、でも彼が成長して変化していくことにはかわりないのです。
サイドストーリーばかりご紹介しましたが、一話一話のお話自体も感動的だけど安直ではなく、暗く重いテーマでも明るく前向きで、味わい深いです。
リアルな現実の厳しさを優しい目でしっかり描き、心にしみる連作短編
「淋しい狩人」。
本を読む人で、本当によかった!
写真、ボロボロになってますね…。
ナニゲに前回の分のブログもちらっとupしてたりします。写真だけ。
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