これは恋愛物と言えるでしょう!
ほんとは更に恋愛物と呼べそうな「死後の恋」にしようかと思ったのですが…、こっちの方が好きなので。
夢野久作「瓶詰地獄」。
夢野久作は皆様ご存知でしょうか?
「ドグラマグラ」という小説が代表作で、文学年表にも名前載ってるような昭和の作家です。
乱暴な言い方をすれば、耽美エログロな作風で、江戸川乱歩とともに愛好家の人も多いです。
「瓶詰地獄」は、船が拾った3通の瓶詰の手紙で構成された、無人島に漂流した兄妹の悲劇的な運命を描いた短編です。
短編というより、更に短い掌編かな。
夢野久作独特の、退廃的な華麗さで饒舌に綴られており、この短いページの中だけで、文章に翻弄され心地よく浸れます。
私の好きな、構成に工夫を凝らされた小説でもあり、ミステリ的な読み方でも非常に優れた小説です。
実は今回こそ恋愛小説をと考えて、江戸川乱歩の短編に思い当たったったのですが(人でなしの恋、とか)、乱歩は一度取り上げましたので夢野久作にしました。
…まぁどちらも、一般的に言う恋愛小説ではないんでしょうけどね。
「瓶詰地獄」は、10ページちょっとの一瞬で読める掌編です、機会があれば読んでみてくださいね。
ちなみに私の持ってるのは角川ホラー文庫の選集です。
角川ホラー文庫についてはまた取り上げるつもりですが、選集に関しては傑作ぞろい…といいますか、大御所の逸品ばかりで素晴らしいです。(まぁその代わりに?書き下ろし長編は…玉石混合ですが…)
背徳の美しさ、見てはならないものに触れようとするような胸の高鳴りを覚える久作文学の色鮮やかな短編、
「瓶詰地獄」。
本を読む人で、本当によかった!
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